2026.08.01
< 白南風 >
相田みつを
白い南風―と書いて
<しらはえ>と読みます
古い昔のことばです
梅雨明けの風―
という意味です
さわやかな気品のある言葉です
美しい日本語です
わたしの大好きな言葉です
じめじめとつづいた
長い梅雨が
ようやくあがり
カラリと晴れた青空から
さあッと吹いてくる
さあッと吹いてくる
それが<しらはえ>です
白南風が吹いて
桃の実は本当に熟すんです
白南風が吹いて
風鈴ははじめて
さえた自分の音色で
鳴るのです
心の中のもやもやを
さらりと消してくれる
浄土からの風
それが<しらはえ>です
昨日までの古い着物を
パッと脱いで
新らしい今日のいのちを
スカッと生きましょう
しらはえ
しらはえ
白南風のように―
今回ご紹介するのは、
「白南風(しらはえ)」。
梅雨明けの頃に吹く風を表す、 古い日本のことばです。
作品の中で相田みつをは、 この「白南風」を 「わたしの大好きな言葉です」と記しています。
その一節を読んでいると、みつをがこの言葉の響きや、そこに込められた季節の風景を、本当に愛していたことが伝わってくるようです。
この詩には、青空や風、桃の実や風鈴など、夏の訪れを感じさせる景色が描かれています。
けれど私が特に心に残ったのは、最後の
「昨日までの古い着物をパッと脱いで」
という言葉でした。
私たちは気づかないうちに、昨日の失敗や後悔、思い通りにならなかった出来事を心の中に抱えたまま過ごしていることがあります。
けれど本当は、今日という日は昨日の続きであると同時に、まったく新しい一日でもあるのかもしれません。
白南風が吹いて空気が入れ替わるように、心の中にも新しい風が吹くことがあります。
過ぎたことにとらわれすぎず、まずは今日という日を生きてみる。
そんな気持ちを、この詩は思い出させてくれるような気がします。
厳しい暑さが続く季節ですが、 みなさまの心にも、 白南風のような爽やかな風が吹きますように。
相田みつを美術館 作品広報室
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次回は、2026年8月15日頃にまた違う作品のコラムとリール動画の公開を予定しております。